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ガチンコ対談 勝間和代×香山リカ(AERA2010,3,15) [幸福論]

今や、お正月の特番にも組み込まれた勝間VS香山の再対決である。
(前回の記事はこちら

まあ、よくやるなあと言う印象もありますが、勝間氏がSMAPの番組に
出演するらしいというだけで、朝からMLに非難が飛び交う株式会社GNH
の代表として、思うところを書きましょう。

なぜ、ここまで勝間氏が非難されるのか、ここ数日考えていました。
この公開対談で、香山さんに”対抗して”メガネをかけてきたり、
紅白歌合戦の審査員までやっておきながら”私は弱者”と言い放つ、
デリカシーの無さは、今さら言うまでもありませんが(どうして他人の神経を
逆撫でするようなことを平気でするのだろう)、この対談では違う何かが
引っかかったのです。

ある日、ひらめいたのは”レバレッジ”というキーワード。
レバレッジとは”てこ”のことで、もともと投資の用語ですが
広義に”てこの原理のように、何らかの手段で小さな力から
大きな効果を引き出す”ことと考えられます。

勝間氏は、外資系コンサル会社にも金融機関にも在籍して
いたので、レバレッジ効果を高めることに日々没頭していた
はずです。また、それに付随して”投資リターン”という
キーワードも浮かびました。

対談の中で、香山さんは
”いくらツイッターで頑張れと言われても、目の前に手を差し伸べて
くれる人がいた方がいいと思うけど”
と主張するのに対して、勝間氏は
”声をかけるのは1日20人が限界でも、ツールを使うことで何万人
にも何十万人にも広がる。私が大好きな、ちょっとの努力でたくさん
の成果になるわけです”
と答えています。

まさにツイッターを使ったレバレッジを実践、そういうことが大好き
だと広言しています。1の努力で最大限の効果を狙うことが重要
なので、自分の行動は全て投資で、それに対する効果(リターン)は
数値化して、損得を計算しないと気が済まない。

ここの部分が、私のような人種には受け入れがたいのですね。
私は1日20人も救えれば十分、あるいは一人のために1日かかっても
しょうがないと思う。こういうところに投資回収の理論を持ち込む
のが信じがたいと考えてしまいます。

また、対談の冒頭で勝間氏は7割の失敗は3割の成功のための投資で
失敗も楽しいと言い放ちますが、これも投資する側の論理だなと
思います。つまり、投資ファンドなんてのは投資した会社の3割も成功
すれば、そこで7割の失敗以上に大儲け出来るので御の字なのです。
ところが、失敗した7割の会社にも血の流れた人間が働いているので
彼らは地獄を見ることになる。投資する側の人間は、そんなこと
一切気にしません。

例えば、私は3年前、トレセンテという結婚指輪の会社で、住友商事、ニッセン
(アドバンテッジパートナー)による醜悪なM&A騒動に巻き込まれましたが、
善人を装った資本原理主義にはほとほとあきれました。
あちこちで大量の血が流れましたが、数十億のお金を動かした投資家たちは
のうのうと暮らしているようです。

資本家VS労働者という古典的な対立は、とっくに無くなっていたのに
いつの間にか、ごく少数の投資する側VS大多数の投資される側という
社会が誕生し、その格差がとんでもなく大きくなった。
勝間氏は、自分が少数の投資する側の人間で、日常生活にまでその手法を
持ちこんでいるにも関わらず、”私の目標は格差をなくすこと(前回対談)”
なんて主張しています。

結局のところ、勝間氏が駆使する手法、考え方が、投資家・資本原理主義側の
ものなのに、本人に自覚がないので、世の中の嫌悪感が強いのだと思います。
おそらく、投資される側の人間が勝間本を読んで、実行してもリターンを生まない
(効果が出ない)ケースが少なくないのではないだろうか。
当社のスタッフが勝間嫌いなのも当たり前ですね。

それに世の中の暮らしは、どうしようもない無駄や矛盾にあふれているのに
全てにレバレッジをかけて、数値化、効率化しようという発想が嫌だ。
それを広めようなんて発想はもっと嫌だ。ほっておいて欲しい。

投資する側と、投資される側の立場の違いはとても大きいと思います。
(投資する側はレバレッジを効かせて最大利益を狙うのみです)
これから先の世の中は、ごく少数の投資家が動かしていくのかも
しれませんね。
ツイッターがその手段に使われているとしたら、まったくトホホな話しです。

 


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