下流志向 内田樹著 [幸福論]
下流志向 内田樹著
2007年1月30日第1刷発行 講談社
1470円 読書時間2時間
昨年、日本辺境論がベストセラーになった内田樹氏が、その2年前に
出していた本。
個人的には、こちらの方が興味深かったと共に、何とも恐ろしく救いようが
無い本だと思いました。
”自己決定、自己責任”というのが、そもそも下流への片道切符だという。
本当の上流(例えば、3世で総理大臣になるような人たち)は、レールが
敷かれているのだから、リスクを取るような決定はしない。その一方で
リスクヘッジ(セーフティネット)は万全だという指摘には、納得するしか
ありませんでした。反対に、セーフティネットが無いのにリスクを取ると、
上場企業の管理職からホームレスに転落という、従来では考えられなかった
ような転落が起きてしまうのです。
でも、ここ10年くらい、多くの人達が様々なリスクを取りにいったんだよなあ。
結婚指輪プロデューサーの看板を上げて商売している私など
リスクの固まりのようなものだなあ。
実際、日比谷公園の年越しテント村を見てて、とても他人事とは
思えなかったもの。
解決策ではないと思うけど、筆者が強調するのは、”他人にも迷惑をかけてもいい社会”
何だかんだ言っても、地縁、血縁が一番堅いセーフティネットになるんでしょうね。
それにしても、努力して(意図的に)教育の権利を放棄して、下流へ向かっていく
子供を救う手段はないのでしょうか???