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下流志向 内田樹著 [幸福論]

下流志向  内田樹著
2007年1月30日第1刷発行  講談社
1470円   読書時間2時間


昨年、日本辺境論がベストセラーになった内田樹氏が、その2年前に
出していた本。
個人的には、こちらの方が興味深かったと共に、何とも恐ろしく救いようが
無い本だと思いました。


”自己決定、自己責任”というのが、そもそも下流への片道切符だという。
本当の上流(例えば、3世で総理大臣になるような人たち)は、レールが
敷かれているのだから、リスクを取るような決定はしない。その一方で
リスクヘッジ(セーフティネット)は万全だという指摘には、納得するしか
ありませんでした。反対に、セーフティネットが無いのにリスクを取ると、
上場企業の管理職からホームレスに転落という、従来では考えられなかった
ような転落が起きてしまうのです。

でも、ここ10年くらい、多くの人達が様々なリスクを取りにいったんだよなあ。
結婚指輪プロデューサーの看板を上げて商売している私など
リスクの固まりのようなものだなあ。
実際、日比谷公園の年越しテント村を見てて、とても他人事とは
思えなかったもの。


解決策ではないと思うけど、筆者が強調するのは、”他人にも迷惑をかけてもいい社会”
何だかんだ言っても、地縁、血縁が一番堅いセーフティネットになるんでしょうね。
それにしても、努力して(意図的に)教育の権利を放棄して、下流へ向かっていく
子供を救う手段はないのでしょうか???

 

 

 

 

 


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ガチンコ対談 勝間和代×香山リカ(AERA2010,3,15) [幸福論]

今や、お正月の特番にも組み込まれた勝間VS香山の再対決である。
(前回の記事はこちら

まあ、よくやるなあと言う印象もありますが、勝間氏がSMAPの番組に
出演するらしいというだけで、朝からMLに非難が飛び交う株式会社GNH
の代表として、思うところを書きましょう。

なぜ、ここまで勝間氏が非難されるのか、ここ数日考えていました。
この公開対談で、香山さんに”対抗して”メガネをかけてきたり、
紅白歌合戦の審査員までやっておきながら”私は弱者”と言い放つ、
デリカシーの無さは、今さら言うまでもありませんが(どうして他人の神経を
逆撫でするようなことを平気でするのだろう)、この対談では違う何かが
引っかかったのです。

ある日、ひらめいたのは”レバレッジ”というキーワード。
レバレッジとは”てこ”のことで、もともと投資の用語ですが
広義に”てこの原理のように、何らかの手段で小さな力から
大きな効果を引き出す”ことと考えられます。

勝間氏は、外資系コンサル会社にも金融機関にも在籍して
いたので、レバレッジ効果を高めることに日々没頭していた
はずです。また、それに付随して”投資リターン”という
キーワードも浮かびました。

対談の中で、香山さんは
”いくらツイッターで頑張れと言われても、目の前に手を差し伸べて
くれる人がいた方がいいと思うけど”
と主張するのに対して、勝間氏は
”声をかけるのは1日20人が限界でも、ツールを使うことで何万人
にも何十万人にも広がる。私が大好きな、ちょっとの努力でたくさん
の成果になるわけです”
と答えています。

まさにツイッターを使ったレバレッジを実践、そういうことが大好き
だと広言しています。1の努力で最大限の効果を狙うことが重要
なので、自分の行動は全て投資で、それに対する効果(リターン)は
数値化して、損得を計算しないと気が済まない。

ここの部分が、私のような人種には受け入れがたいのですね。
私は1日20人も救えれば十分、あるいは一人のために1日かかっても
しょうがないと思う。こういうところに投資回収の理論を持ち込む
のが信じがたいと考えてしまいます。

また、対談の冒頭で勝間氏は7割の失敗は3割の成功のための投資で
失敗も楽しいと言い放ちますが、これも投資する側の論理だなと
思います。つまり、投資ファンドなんてのは投資した会社の3割も成功
すれば、そこで7割の失敗以上に大儲け出来るので御の字なのです。
ところが、失敗した7割の会社にも血の流れた人間が働いているので
彼らは地獄を見ることになる。投資する側の人間は、そんなこと
一切気にしません。

例えば、私は3年前、トレセンテという結婚指輪の会社で、住友商事、ニッセン
(アドバンテッジパートナー)による醜悪なM&A騒動に巻き込まれましたが、
善人を装った資本原理主義にはほとほとあきれました。
あちこちで大量の血が流れましたが、数十億のお金を動かした投資家たちは
のうのうと暮らしているようです。

資本家VS労働者という古典的な対立は、とっくに無くなっていたのに
いつの間にか、ごく少数の投資する側VS大多数の投資される側という
社会が誕生し、その格差がとんでもなく大きくなった。
勝間氏は、自分が少数の投資する側の人間で、日常生活にまでその手法を
持ちこんでいるにも関わらず、”私の目標は格差をなくすこと(前回対談)”
なんて主張しています。

結局のところ、勝間氏が駆使する手法、考え方が、投資家・資本原理主義側の
ものなのに、本人に自覚がないので、世の中の嫌悪感が強いのだと思います。
おそらく、投資される側の人間が勝間本を読んで、実行してもリターンを生まない
(効果が出ない)ケースが少なくないのではないだろうか。
当社のスタッフが勝間嫌いなのも当たり前ですね。

それに世の中の暮らしは、どうしようもない無駄や矛盾にあふれているのに
全てにレバレッジをかけて、数値化、効率化しようという発想が嫌だ。
それを広めようなんて発想はもっと嫌だ。ほっておいて欲しい。

投資する側と、投資される側の立場の違いはとても大きいと思います。
(投資する側はレバレッジを効かせて最大利益を狙うのみです)
これから先の世の中は、ごく少数の投資家が動かしていくのかも
しれませんね。
ツイッターがその手段に使われているとしたら、まったくトホホな話しです。

 


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対談 勝間和代×香山リカ(AERA 09.10.12) [幸福論]

マリッジリングプロデューサーの通勤読書日記(2009,10,5)
より転載 

勝間和代×香山リカ 激論2時間
「ふつうの幸せ」に答えはあるか

アエラ 2009年10月12日号
朝日新聞出版 380円

香山リカの「しがみつかない生き方」を読んで、
いちばん気になったのが”勝間和代を目指さない”の章だったので
中吊り広告を見て、すぐにアエラを購入しました。

対談とはいえ、話しがかみ合うはずもなく、
香山さんの精神科医らしい質問に、勝間さんが答える場面が
多いのだけど、勝間さんの発言に5回くらいツッコンだな。

勝間さんも他者の幸せを願っているというけれど、
結局のところ、ごく少数の成功者が莫大な報酬を手にして、
税金を払い、それが教育などに幅広く再配分されて、
みんなが努力すればいいだろうという考え。
それぞれの目標を向けて、自己実現をはかれれば幸せ
ということなんだと思う。

10年くらい前、社員50人の結婚指輪販売会社を運営していた時、
教育のコンサルティングを入れて、最後に決裂したんだけど
その時の彼らの主張が“人間は目標を立てて自己実現すること”
が全てみたいなもの。そりゃマズロー理論ではそうかもしれない
が、その手前の”他人や社会から承認される方”が重要だろうが
と思いましたね。

会社で上司や同僚から理解されず悩む人に、目標立てて自己
実現はかれと言っても、ツブレるだけだろうが。

結局のところ、勝間さんの考えはアメリカモデル(資本原理主義)
の”強者の考え”であり、奢りなんだと思う。多くの人が望んで
いるのは、強者からの施しではなく自分の小さな幸せなのだから。

対談後の香山さんのコメントで、日経(勝間)VS東スポ(香山)論が
わかりやすい。

上場企業なんかに関わっていると、日経は必需品だけど、
立場が変わってみると、日本のムラ社会の何とも嫌な新聞だ。
CO2削減問題でも、日本の経済界を代表して反対論を唱えるわ
非正規社員は企業の調整弁だと開き直るわ。
企業の収益が悪化する心配はするのに、国民の幸福の心配は
しないんだ。
勝間さんの肩書も経済評論家だもんなあ。

おそらく、先日の衆議院選挙でも、二人に立候補の打診があった
だろうが、次回は出るかもなあと考えた。

香山リカは社民党。
勝間和代は、自民党か民主党の勝ちそうなところ。
無駄なことはしないんだもんね。

(独断コメント)俺は日刊ゲンダイでいくぜ!

 


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幸福の方程式 山田昌弘+電通チームハピネス著 [幸福論]

幸福の方程式 山田昌弘+電通チームハピネス

ディスカヴァー・トゥエンティワン  2009年9月10日 第1刷
1050円  読書時間60分

”パラサイトシングル”、”婚活”と時代を反映した新語を生み出す才能は
広告代理店以上の山田先生。
今どきの若者の幸福を語る上で、欠かせない存在です。

この本は前書きで、消費よりも精神的豊かさが大切なんて議論は60年代末からあり
(インド放浪とか、ヒッピー文化とか)、それでもなお、たしたちが物質的豊かさを
求め続けるのはなぜか?と問題提起。なるほどと、本文への期待が高まります。

一番、納得したのは
”企業は、幸福をもたらすと信じられるモノを作って売るのではなく、人々が幸福になることを
サポートすることに利益を得る”ようになるという指摘。

昭和の消費ってのは、まわりと同じように、カラーテレビやクーラーや自動車を買うことで
その消費自体が幸福をもたらしていた。それ自体が大きな物語だったとも言える。

結婚指輪(マリッジリング)や婚約指輪(エンゲージリング)もまさにそうで
当初は、まわりと同じように、ダイヤモンドの婚約指輪が買えることが幸福そのもの
だったんじゃないのかな。
それが今では、結婚指輪や婚約指輪に何らかの意味を付加して、カップルの幸せを
サポートするものに変化している。

そして、これから先に用意されている幸福の物語は、以下の3つと指摘。
 1、自分を極める物語(自分の満足を追求)
 2、社会に貢献する物語(自分の生きる意味に納得感をみつける)
 3、人間関係の中にある物語(自分の居場所を確保すること)
消費は、それぞれの物語の成就をサポートする道具ということだ。

結婚指輪(マリッジリング)のWEB販売を営む私にとっては、
” 自分たちの生き方を肯定する、しるしとしての結婚指輪(マリッジリング)”
を開発・販売するのがこれからの仕事だと考えましたが、いかがでしょうか。



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